そして開店です。
本部の指導の下、アルバイトも採用しました。
本部から1週間の約束で、立ち上げ要員も派遣されました。
しかし、お客が来ません。
チラシも近隣に2万部ほど撒いていますが、あまり反応無かったです。
近所の人たちや、通りすがりの人が、「認印48円」に反応して、
とりあえず買っておこうかという感じで少し売れましたが、
「認印48円」は、オープン3日間の目玉で、原価割れの商品です。
その3日が終わると、お客がほとんどやって来ない店になりました。
それでも、お客が「0」という日は無く、98円になった認印や、
安売りの「文房具」などが少し売れたりします。
保険の営業の人が来て、認印を数十本買って行ったりとか、そんなこともあります。
FC社長は
「最初はそんなもんですよ。認知度が高まれば、徐々に売り上げもアップしますから、とにかくポスティングをやって下さい」
と、言うばかりです。
資金繰りですが、私に必要な1ヶ月の費用はこんな感じです。
店舗家賃 339900円(消費税が3%の頃でした)
アルバイト 150000円(交通費も2万円支給してました)
水道光熱費 20000円
機会リース代 128000円
看板リース代 29600円
FCロイヤリティ 77000円
そして国金返済 55000円
これに、自宅の家賃や光熱費、食費で
15万円は必要です。
もうお金に困ることは無いと思っていたので、家賃の高いところに住んでしまっていました。
あと、本部には仕入れの支払いもかなり残っていました。
とにかく毎月、90~100万円の粗利益がないとやっていけません。
ところが、最初の月の売り上げは60万円ぐらい
次の月が70万円
次も60万円
その次は、年賀状の時期に入り、はじめて100万円を売りましたが、
さらにその次の月は55万円
そんな感じでした。
これは利益ではなく、売り上げです。
粗利益となるとこの半分ぐらいでしょうか、とにかく資金が全然足りません。
真っ青になる。どころの騒ぎじゃない、
夜も眠れなくなりました。
FC本部にはある程度の責任もあり、仕入れも本部からなので、
少し待ってもらうように交渉しました。
リース会社には、とても払えないので、月々を減らして欲しいと言って、
36回払いを100回払いにしてもらいました。
そして、これは大変でしたが店は、自分一人でじゅうぶん回せるので、
アルバイトに辞めてもらうよう言いました。
時給1000円、土日休み、交通費全額支給、お客さんが来ないという、
かなり楽な職場でしたのでやめたくないと抵抗されましたが、
もう給料が払えないと言って説得しました。
そんな頃、FCの社長が来て、店先で誰かと電話していましたがその時に、
「いや~、脱サラの人は考えが甘いんですよ。資金も足りないし、覚悟も無い。成功するのは難しいです。これからは自営業者の業態変更を中心に展開することにします」
と、いうようなことを言ってました。
この時点では、私たちに信頼関係は無く、お互いが「こんなやつと組んで大失敗だった」と、
思っていたと思います。
それにしても、私に直接言うでもなく、店先でそんなことを言うなんて・・・・
とにかく大嫌いでした。
その頃、本部で唯一信頼していたYさんが、突然お店にやってきて、
「FC本部をやめます。」と、あいさつに来られました。
開店当初、お店を手伝ってくれた、Tさんは、最初の1週間が終わって東京へ変える際に、
「実は会社をやめるんです。この店は気になっていたので、最後の仕事にこちらを選びました。大切な時なので、黙っていてすいません」
と、言われて帰っていきました。
商品を注文する際に私のお店の担当をされていた方も、半年ほどで退職しました。
この人の仕事ぶりも気に入っていました。
人間性も良かったと、記憶しています。
こうして次々と、信頼を寄せていた人たちが私の前から去っていきます。
資金繰りも限界が来ました。
もう次の家賃は払えないという日が遂にやって来ます。
限界です。
お店はもう、維持できない。
閉店するしかない。
開業から、おおよそ1年が経っていました。
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